引越し業界6年!へのへのもへじ引越し業界6年!へのへのもへじ

生活保護を受けている状態の引越しは、手続きが非常に複雑でわかりにくく、多くの人が苦労をするポイントです。

生活保護で引越しを行う場合には、クリアしなければならない条件注意点をすべて押さえておく必要があります。

今回は複雑で難解な生活保護の引越しについて、出来うる限りの情報をわかりやすく解説します。

ぜひ参考にしてください。


引越し費用の支給には役所の許可が必要

まず大前提として、生活保護を受給している状態では、役所からの許可がなければ引越しにかかる費用の支給がされません。安定した住居がなく、転居が必要と認められた場合に、引越し代や敷金などの転居費用が支給されます。

よく勘違いしがちですが、引越しをすること自体は本人の自由であり、行政が禁止することは出来ません。

ここで問題になっているのは、あくまで「引越し費用が生活保護の一環として支給されるかどうか」です。

引越しに伴う費用の支給を受けるためには

生活保護を受けながら、引越し費用の支給を受けて転居を行うためには、次に挙げる16の条件のいずれかをクリアする必要があります。

転居費用が支給される条件

引越し・物件契約(敷金・礼金など)に関わる費用は、下記の16条件のいずれか1つに該当する場合に支給されます。元の規定は法律的な言い回しが多く難解なため、ここではやや噛み砕いてあります。

  1. 入院している人が、退院に際して住むための住居のない場合
  2. 行政・ケースワーカー等の指導により、現在よりも安い家賃の物件に転居する場合
  3. 国・自治体から都市計画等のための土地収用を理由に立ち退きを強制され、転居を必要とする場合
  4. 退職によって社宅等から転居する場合
  5. 社会福祉施設等から退所する場合に、その後の住居がない場合(施設入所の目的を果たして退所する場合に限る)
  6. 宿所提供施設・無料定額宿泊所等を一時的な生活場所として利用している人が、居宅生活ができると認められた場合
  7. 自宅が勤務先から遠距離にあり、通勤が著しく困難な場合で、勤務先のちかくに転居することが、世帯の収入の増加、働いている人の健康維持等、世帯の自立助長に特に効果的に役立つと認められる場合
  8. 火災等の災害により、現住所が消滅、または居住できない状態になったと認められる場合
  9. 老朽又は破損により、現在の住居が居住できない状態になったと認められる場合
  10. 世帯人員からみて、現在の住居が著しく狭いと認められる場合
  11. 病気療養上、著しく環境条件が悪いと認められる場合又は、身体障害者が要る場合であって接尾構造が居住に適さないと認められる場合
  12. 住居が確保できないことから、親戚や知人宅等に一時的に身を寄せていた人が転居する場合
  13. 現住居の家主が相当の理由を持って立ち退きを要求し、又は借家契約の更新の拒絶、もしくは解約の申し入れを行ったことにより、やむを得ず転居する場合
  14. 離婚により新たな住居を必要とする場合
  15. 高齢者・身体障害者等が扶養義務者の日常的介護を受けるため、扶養義務者の近隣に転居する場合
    または、その双方が被保護者であって、扶養義務者が日常的介護のために、高齢者・身体障害者等の近隣に転居する場合
  16. 生活保護受給者の状態等を考慮のうえ、法定施設(社会福祉関連の法律に規定されているグループホームや有料老人ホーム等の施設)に入居する場合であって、やむを得ない場合

支給要件は以上の16通りで、数が多い分転居しやすいイメージを受けるかもしれませんが、多くの場合に支給が認められるのは「2.ケースワーカー等の指導で家賃が安い物件に引越す場合」と「11.病気療養や身体障害者がいる場合、環境条件・接尾構造が居住に適さない場合」の2通りのようです。

また支給の条件は厳密に規定されているため、この16パターン以外の条件では転居が認められません。

引越し費用の支給方法

引越し費用は「追加支給(定例支給以外で支給される保護費)」という扱いになります。支給日は各福祉事務所によって異なるため、いつ支給されるかは直接確認してください。

支給される金額について

引越し業者に支払う「引っ越し代」と「敷金等」では算定方法がことなりますが、最終的には引越し代+敷金等の合算で転居費用が支給されます。

引越し代

引越し代は、複数の引越し業者で見積もりを行い、そのうち最も安い金額が支給されます。

例えば3社から見積もりを取った場合

A社:5万円
B社:6万円
C社:7万円

このときは、最も見積額の安いA社の6万円が支給されます。

なお引越し代は「実額(実際に必要な金額)」が支給されるため、支給額に上限はありません。

敷金等

住宅扶助基準の限度額×1.3×3=敷金等の上限額と定められています。

「住宅扶助基準の限度額」は福祉事務所によって異なるため、自治体によって敷金等の上限額が変わります。

例えば、住宅扶助基準の限度額が4万円の場合、上記の式で計算すると
4万円×1.3×3=15万6千円が敷金等の上限額になります。

この場合、敷金等の金額が14万円なら、14万円全額が支給されます。
敷金等の金額が16万円であれば、上限の15万6千円が支給され、残りの4万円は自己負担(手出し)となります。

ちなみに、転居前と転居先の自治体(福祉事務所)の上限額が異なる場合は、金額の高い方を上限額とすることができます。

家具代(家具什器費)の扶助

引越しの際に知っておくと得なのが、家具什器費(かぐじゅうきひ)、つまり「家具代」の扶助が受けられる場合があるということです。

家具什器費が支給される条件

引越し費用の支給と同様に、以下の条件のいずれかに該当する場合に支給を受けることができます。この規定もやや噛み砕いた表現で紹介します。

  1. 生活保護開始時に、最低生活に直接必要な家具什器の持ち合わせがない場合
  2. 長期入院・入所後退所・退所した単身者が新たに自活しようとする場合に、最低生活に必要な家具什器の持ち合わせがない場合
  3. 災害にあい、災害援助法が発動されない場合に、その自治体等の救護だけでは災害で失った最低生活に直接必要な家具什器をまかなえない場合
  4. 転居をするときに、新旧住居の設備の違いにより、新たに最低生活に直接必要な家具什器を補填しなければならない事情があると認められる場合
家具什器費の支給対象

支給条件の中に、繰り返し「最低生活に直接必要な家具什器」という表現が出てきましたが、要は「これがないと最低限の生活が送れない」というものが支給の対象になります。

具体的には、食事に関係する「炊飯器・食器類・鍋や包丁などの調理器具・コンロなど」や、
部屋の照明器具がこれに該当します。

基本的に食事に直接関係するものが支給の対象であるといえます。
したがって、テレビやラジオ等の家電、食器棚などの収納家具は支給対象ではありません。

ただし家電のなかでも、冷蔵庫・電子レンジ・洗濯機などは状況によって認められる場合もあります。

まずはケースワーカーに相談することが重要です。

家具什器費の支給上限額

支給金額の上限は、一般に26,200円と定められています。

家具什器費の支給方法

原則的には現物支給ですが、福祉事務所によっては現金支給の場合もあるため、確認をしてください。
現金支給の場合には、引越し費用と同様に追加支給となります。

引越しを検討するときには

市区町村内で引越したい場合

市区町村内で引越しをする場合には、居住地区を担当するケースワーカーに相談します。その後、各福祉事務所長が転居が必要であると判断した場合に引越しの許可をもらえます。

他の自治体へ引越したい場合

市区町村外など、他の自治体に引越す場合には、新旧の自治体の間で生活保護を引き継ぐ手続きが必要になります。こちらは社会情勢、財政状況により市区町村内での引越しよりもかなりシビアなのが現状です。

こちらもまずは担当のケースワーカーに相談してください。

揃えておくべき書類

会社の経費精算と似たようなイメージですが、引越しの手続きを進めるうえで登場する書類はすべて保管し、ケースワーカーや福祉事務所に提出する必要があります。

具体的には

    • 物件の間取りや家賃が記載されたもの(チラシなど)
    • 敷金礼金等の精算書
    • 物件の契約書

 

  • 物件契約の領収書
  • 各引越し業者の見積書
  • 引越し大の領収書

などです。

引越しのための手続き

不動産会社での手続き

まずはインターネットや不動産屋で部屋を探し、内覧を申し込んでその部屋の中を実際によく見ておきます。良い部屋があった場合は、不動産業者に「住所・間取り・家賃が書かれた書類」と「契約見積書」を出してもらいます。

この2つの書類は後でケースワーカーに提出するため、大切に保管しておきましょう。

借りられる物件が見つからないときは

生活保護を受けている場合、そうでない人に比べて物件の選択肢が少ない場合があります。もし借りられる物件が見つからない場合には、地域の民生委員などに相談してみてください。

役所(ケースワーカー)での手続き

許可の申請

不動産業者にもらった「住所・間取り・家賃が書かれた書類」と「契約見積書」をケースワーカーに提出し、役所(福祉事務所)に審査をしてもらいます。

審査を通過して許可が下りたら、役所と契約日の相談をします。これは不動産業者との契約のタイミングで必要な費用をもらうためのものです。

次に不動産業者と契約の日程を調整します。

契約日が決定したら、その直前に役所に行き、ケースワーカーから引越し・契約の費用を受けとります。

物件契約が終わったら

役所から支給された初期費用を払い、賃貸契約をしたら、契約時にもらう「契約書」と「領収書」をケースワーカーに提出します。

その後、引越し日を決定し、複数の引越し業者から見積もりを取ったら、その見積書をケースワーカーに提出します。先に触れたように、複数の引越し業者の見積もりのなかで、一番安い業者の金額をケースワーカーからもらいます。

住居に関する手続き

引越しの見積

引越しの見積は基本的に複数の業者を比較して行います。その際には、インターネットにある引越し見積もりサイトなどが便利です。

引越しで注意すること

お金の流れ・契約に関する書類はすべて提出

生活保護の範囲内で引越しを行うためには、かかる費用のすべてを役所に申告しなければなりません。そのため、不動産業者や引越し業者の見積書・契約書・領収書など、契約やお金に関する書類はすべて保管し、提出してください。

ケースワーカーと密に連絡を取り合う

生活保護の実際は人によって異なるため、最終的には担当のケースワーカーとの連携がポイントになります。特に引っ越しの場合は、許可申請から引越し完了後の家庭訪問まで、すべての段階でケースワーカーが関係してきます。綿密に連絡を取り合い、不安なこと、わからないことは必ず相談しましょう。

スケジュールは絶対に必要

引越しはそもそも計画的に進めるべきものですが、特に生活保護を受けている場合には、役所やケースワーカーに書類を提出し、費用の支給を受けるなど、一般の引越しに比べて必要な手順が多く、よりしっかりとしたスケジュールが必要です。

カレンダーや手帳などにすべての日程や手順をしっかりと書いておくことをおすすめします。

生活保護 引越し手続きの流れ

  1. インターネット、不動産屋等で部屋を探す
  2. 不動産屋に行き、内見をする
  3. 物件の情報や見積もりの書類を役所に提出、審査を受ける
  4. 役所の了承を得たら、不動産屋に契約する旨を伝える
  5. 役所に行き、契約日の相談をする
  6. 不動産屋に行き、契約日程の調整をする
  7. 契約日前に役所に行き、契約の初期費用を受け取る
  8. 不動産屋に行き、初期費用を支払って契約を結ぶ
  9. 役所に行き、契約書・領収書をケースワーカーに提出する
  10. 引越し日を決め、複数の引越し業者の見積もりを取り、ケースワーカーに提出する
  11. 一番安い引越し業者と契約し、その代金をケースワーカーから受け取る
  12. 引越し
  13. 引越し後、ケースワーカーの家庭訪問を受ける

まとめ

生活保護を受けながらの引越しは、普通の引越しよりも格段に複雑で、大変なものです。特に持病がある場合などは、体調面を考慮しながら余裕のあるスケジュールを立てる必要があります。

手続き・書類に抜け漏れのないようにいま一度確認し、わからないことは必ずケースワーカーに相談しましょう。

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